パイナップルの葉とバナナの茎から繊維の抽出を沖縄県内で開始
フードリボンが本格的にパイナップルの葉とバナナの茎から繊維の抽出を県内で開始
左から
写真1:バナナの木 1 年で5mに成長し、果実を収穫すると切り倒す(毎年)
写真2:バナナの茎と抽出した繊維
写真3:バナナ茎から抽出した繊維を乾燥しているところ
写真4:乾燥後のバナナ茎繊維。これを紡績すると糸になる
(2022年5月 東村、大宜味村で撮影)
この度、株式会社フードリボン(本社:沖縄県大宜味村)は、パイナップルの葉やバナナの茎など農作物の副産物から天然繊維を効率よく高品質に取り出す特許技術を開発し、先月から東村にてバナナ収穫後に残された茎から繊維の取り出しを開始しました。
初回確保量1トンのバナナの茎から繊維を取り出します。
パイナップルの葉からの繊維抽出は、沖縄美ら島ファーム等の生産者やJA 沖縄の協力により北部地域の農家からパイナップルの葉を調達し、繊維を生産していく計画です。
果実の収穫期を待って6月から開始し、現在約30トンの葉の確保が予定されています。
パイナップルやバナナの繊維を「生産者の顔が見える繊維」「自然に循環する衣服」として展開
パイナップルの葉やバナナの茎は、果実の2倍以上の量があると推計されますが、これまで果実収穫後には価値がないものとしてその9割以上が捨てられていました。
その葉や茎から衣料向けの天然繊維として高品質な繊維が抽出できたことで繊維素材をアパレル企業に販売ができるようになりました。
今後は離島も含めた沖縄全土の生産農家との連携を増やし、協力農家から葉を買い取る仕組みを構築し、沖縄の新たな産業にするべく計画を進めています。
さらに、パイナップルの茎部分から医薬品原料を抽出し販売するジェイドルフ製薬株式会社とも連携でき、パイナップル全ての価値を上げることに繋げます。
(ジェイドルフ製薬は来年、東村に医薬品原料抽出工場を建設予定)
この繊維原料から作られたアパレル製品は「生産農家の顔が見える服」として展開し、使い終わった後循環する仕組みに乗せ、最終的に土に還すことができます。
その連携は一般社団法人天然繊維循環国際協会NICO(東京都渋谷区 理事長 八木原 保)と共に地域・企業・教育機関と連携し進めています。
繊維抽出後の残渣も捨てずに、生分解性プラスチックへ活用
また、弊社では繊維抽出時に出る葉肉部分も捨てることなく活用し、葉肉部分を乾燥、粉砕した後に、生分解性プラスチックの中に練り込み環境負荷を低減したバイオプラスチックストロー(パイナップル葉繊維ストロー)を昨年から製造販売しております。
沖縄県内ではホテルや飲食店を中心に100社以上で既に採用いただいています。
最近では県外での取り扱いも増加し、東急グループなどでも採用いただいています。
今年から沖縄産の繊維を抽出すると同時にこの残渣も、生分解性材料として石油プラスチックに代わる素材としてカトラリー、テイクアウト容器などさまざまな製品に展開していきます。
沖縄大宜味村で、環境と社会課題解決に資する事業を展開
天然繊維の代表は綿花ですが、栽培時に農薬や水の多用等に起因する健康被害や環境問題、強制労働など多くの問題を有することが明らかとなり、人権や環境に配慮され産地証明に透明性のあるオーガニックコットンの需要が年30%以上の伸び率で高まっています。
このような中、弊社が生産する天然繊維は、オーガニックコットンよりも地球環境への負荷を削減でき、今まで捨てられていた部分を買い取ることで生産者の所得向上に直結し、より持続可能なアパレル産業に貢献することが出来ます。
沖縄県は観光産業が主力産業ですが、海洋汚染の原因であるマイクロプラスチックの35%は石油由来の化学繊維が原因と言われています。
その沖縄県はパイナップルやバナナの主要産地です。
同時に、世界自然遺産に登録された自然豊かな、やんばる地域でもある大宜味村から、パイナップルやバナナなどの天然繊維のブランドを発信することは大きな意義があり、インパクトを持って事業展開できるものと考えています。
沖縄からアジアへ
私たちが大切にしていることは、今まで不要とされてきた葉や茎が新たな価値を生み、それが収入として生産者に直接還元されることです。
生産農家に登録をしていただくことで「生産者の顔が見える繊維」として展開していきます。
現在、98%が海外製造となっているアパレルの製造ラインを沖縄県内に設置することにより雇用を拡大し、所得の向上など沖縄の社会的課題解決にも貢献するものと考えています。
そして沖縄発の技術を、産地や課題が共通する東南アジアに拡げていくとともに、厳しい状況に置かれている国内繊維産業やファッション産業を沖縄から変え、元気にすることを目指しています。